2007年12月09日

決闘の辻〜藤沢周平 藤沢版新剣客伝〜


img148.jpg 宮本武蔵、神子上典膳、柳生但馬守宗矩、諸岡一羽斎と弟子達、愛洲移香斎の5編。死を賭して得た剣名、生を捨てて得た剣技、何人にも負けるわけにはいかない。
 
 剣豪も晩年は一番弟子に流派を引継がせるもの、体力的に衰え他派に打たれるもの等、歴史的に晩年を扱ったものは少ない。
 宮本武蔵の「二天の窟」は心身の急速な衰えを感じた武蔵が、霊厳寺の窟で「五輪書」の執筆にかかろうとする矢先、彼の老いを知って見くびった鉢谷助九朗と立会い引き分けの形を作ったものの、実際は負けていたので、武蔵敗れたりという噂の流れるのを気にかけて、助九に不意打ちを食らわせて殺したのち、「五輪書」を書き始める晩年の武蔵を書いた作品だ。
 時代は変る。若き日の武蔵を考えれば、これもあり得るか。がく〜(落胆した顔) 
posted by シゲ(^-^)v at 17:47| Comment(1) | TrackBack(0) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月27日

霜の朝〜藤沢周平

img147.jpg 財力を掛けて粋を競った相手の紀伊国屋文左衛門は、悪銭廃止礼によって没落した。勝ち残った奈良屋茂左衛門の胸に一陣の風が吹き抜ける。・・・・表題作「霜の朝」他短編集。

 今回は「怠け者」の紹介。まともな暮らしができず博打打などで生計を立てていた弥太平も50歳を超え、甥の佐吉に付き添われ「丸子屋」に下男として骨を埋めるつもりで奉公に上ったが、いつものサボり癖が頭をもたげる。

 そんな弥太平もあっという間にぼろが出てしまい正体を見破られるが、おかみさんだけは人を疑うことを知らなかった。
 だが、昔の仲間からの誘いに断れず、丸子屋への盗人の手引きを一度は引き受けたが、その晩警戒心の無いおかみさんの湯浴みを見て、決心した。

「いやだ俺にはできねえ」。熱っぽく膨らんだ頬に又裂けるような痛みが走って、目の中に火花が散った。
その火花の中に弥太平は幻のようにおっとり微笑んでいるおかみの白い立ち姿を見た。

 荒んだ心の持ち主が老いの境遇に架かったそんな主人公にも、最後まで捨てきれない救いの手をを差し延べる藤沢周平。読者にも暖かい心根を残す。わーい(嬉しい顔)
  
posted by シゲ(^-^)v at 21:28| Comment(1) | TrackBack(0) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月18日

三屋清左衛門残日録〜藤沢周平


img146.jpg 日残りて昏るるに未だ遠し。家督を譲り、離れで隠居の身となる三屋清左衛門は、日録を記すことを自らに課した。世間から隔てられた静寂感。老いた身を襲う悔恨。然し藩の執政府は紛糾の渦中にあったのである。
老い行く日々の命の輝きを、いぶし銀にも似た見事な筆で描く長編437ページ。 要人として重用された身が、隠居を許さない。そろそろ考えさせられることも。わーい(嬉しい顔)



posted by シゲ(^-^)v at 21:33| Comment(1) | TrackBack(0) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月03日

喜多川歌麿女絵草紙〜藤沢周平


img144.jpg 読物は文化芸能関係が続く。今回は江戸の美人浮世絵師、喜多川歌麿。好色漢の代名詞ともされるが、その人生は意外にも愛妻家。

 藤沢周平の歌麿は、毎回描きたい女を捜してモデルとして描き始めるが、その目指す美は成熟美だったり、未熟美だったり。描いているうちに美人画のモデルの人生に遭遇し、幸せを追求するうちに女の表情が変化し絵が未完に終わるという物語が多い。

その歌麿も最盛期を過ぎると筆が荒れる。女を好きでないと本当の美は描けない。晩年40歳。女を好きになるにもエネルギーが要る。藤沢周平の見方だ。 
posted by シゲ(^-^)v at 19:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月06日

一茶〜藤沢周平


img135.jpg 稀代の俳諧師・一茶。親密さと平明。典雅の気取りとは無縁の独自の世界を示したその句。およそ俳聖という衣装は相応しくない。しかし全発句。生涯二万。何でも俳句にしてしまう。百姓に生まれ稀有の境遇。

 尋常ならざる風荘の人か。更に一茶は遺産横領人の汚名を残し、俗事に長けた俳諧師の風貌を持つ。陰影に満ちたこの俳人の生涯を描く渾身の力作長編。
posted by シゲ(^-^)v at 21:26| Comment(2) | TrackBack(0) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月23日

静かな木〜藤沢周平

img134.jpg 藩の勘定方を退いてはや5年、孫左衛門も後二年で還暦を迎える。城下の寺に聳える欅の大木にひかれた彼は、見上げるたびにわが身を重ね合わせ、平穏であるべき老境の日々を思い描いていたが。現在中老に上り詰めている元上司の子息から次男が侮りを受けた。そして果し合いに。

 舞台は東北の小藩、かの海坂藩。藤沢周平最晩年の境地を伝える。他三篇。
posted by シゲ(^-^)v at 21:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月29日

愛憎の檻〜獄医、立花登手控え(三)

img115.jpg このシリーズの最終版。立花登は青年獄医で入牢者から良く頼みごとをされる。そして事件の深みへ。日頃から柔術を鍛錬する登は今まで相手に負けて深手を負ったことはない。

 家では叔父の家に居候をしているので、叔母に使用人のごとくこき使われている。娘(従妹)のおちえには今では婿の対象の一人と思われているようだ。

 娘の病を治したお礼にと、登に未解決事件の情報を教えてくれた男が牢の中で殺された。大胆な殺しの後、ゆうゆうと出牢した犯人を追い、登は江戸の町を駆ける。 しかし登は強い。
 1982年NHKで製作・放映された連続ドラマ「立花登青春手控え」で中井貴一が登を演じた。



posted by シゲ(^-^)v at 21:55| Comment(1) | TrackBack(0) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月23日

風雪の檻〜獄医、立花登手控え(二)

img113.jpg 「幻の女」・・・巳之吉は三十過ぎの男で吟味は終わって遠島の刑を言い渡され島から来る迎えの船を待っている。

 「おこまという好きな娘がいたんだ、先生!」逢いたい!せめて最後に女に流人船を見送らせたい。登はそう思った。
 おこまは巳之吉の幼な馴染で13の時に一緒に遊んだ。18の時おこまは巳之吉を訪ねてきて軒下でお札を渡すとひっそりと夕闇に消えていった。おこま親子は夜逃げのように街から姿を消したのだ。
 巳之吉は何年か後に気持ちに決着をつけるためにおこまを捜したが消息は絶たれた。そして嫌気が差し博打に手を出し転落の道へ。金銭のもつれから相手の匕首で殺傷したのだった。 


時間のある人はお次へ・・・
posted by シゲ(^-^)v at 18:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月16日

春秋の檻、獄医立花登手控え〜 藤沢周平

img112.jpg シリーズものの初回。 医学を目指す青年医師、立花登は江戸に住む医者の叔父、小牧玄庵の家に居候する。叔母は登を下男のように使うし、従妹のおちえは遊びほけている。
 登は叔父の代診で牢屋敷に通う内、獄舎に繋がれた人々の様々な事情を知り、深入りし危険な目に合うが、起倒流の柔術で切り抜ける。

 島送りの船を待つ囚人から頼みに耳を貸したことから、思わぬ危機に陥った。
 起倒流柔術の妙技と鮮やかな推理で、獄舎に持ち込まれる様々な事件を解く。  医者って昔も地位が高く信頼されていたらしい。わーい(嬉しい顔)   
posted by シゲ(^-^)v at 22:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月29日

闇の梯子〜藤沢周平


img110.jpg  表題作「闇の梯子」他4編。「虹の記憶」が面白い。

 麓綱四郎は次男なので家督を継ぐ訳にいかない部屋住みの身だが、殿岡家の加津のところに婿入りが決まっている。殿岡家は地侍の家柄で加津は殿岡甚兵衛の一人娘だ。この親子は政治向きの話が好きで一人娘が故男同然に育てられたという。

 「はしたないお願いと承知しておりますが、お聞ききとどけいただきとうございます」、「抱いて頂きとございます」。殿岡家の菩提寺に招かれたその訳は?


時間のある人はお次へ・・・
posted by シゲ(^-^)v at 08:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする