2009年03月15日

蟹工船〜小林多喜二

img172.jpg 今、この本が若い人に読まれているらしい。
 小林多喜二は明治36年秋田県生まれ、小樽高商を卒業、北海道拓殖銀行に就職し、昭和4年に解雇。プロレタリア文学に目覚め、実際に労働運動にかかわる。非合法下の共産党に入党し、29歳で警察に逮捕され拷問により殺された筋金入りの左翼運動家だ。

 蟹工船は航船ではなく工船であり、ロシア近海まで航海し、東北や北海道の炭鉱や農業の食い詰め労働者を奴隷のように使い、資本家が暴利をむさぼり、海軍もまたこれを保護するという国策産業だった。

 何故今この本が読まれるか?キーワードはワーキングプアー。企業の効率化の下に正規社員は派遣社員や契約社員にハイスピードで切り替えられていく。それでも景気の良い時は労働の多様化などと言われ、好きな時間に働き、好きな仕事に付けると、派遣労働はもてはやされ、ともすると嫌な仕事もガマンしなければならない正社員は敬遠された。

 ただ、今はどうなのか。派遣社員も景気が上向きのときは、決して企業から派遣契約を終了させることは無かったが、この不況下には契約の更新はされない場合もある。解雇ではない、契約留めだと。結果住居を追い出され、ホームレスにならざるを得ない人も。

 こんな状況がまさに高度経済社会での奴隷のようであり、この本が共感を呼んだと言うのだろうか?
確かに、規制緩和やビッグバンに対する無策のの結末かもかもしれない。

 中国製は安いと喜んでいたが、それも次第に高くなり、日本製は高嶺の花だ。
日本の若者は今やや中国の人件費と裸で競争させられていると見れないことは無いが。・・・。ちっ(怒った顔)

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2008年11月18日

深夜特急3〜沢木耕太郎


img167.jpg 風に吹かれ、水に流され、偶然に身をゆだねる旅。そうやってやっとインドに辿り着いた。カルカッタでは路上で突然物乞いに足首をつかまれ、ブッタガヤでは最下層の子供達との共同生活を体験した。

 ペナレスでは街中で日々演じられる生と死のドラマを眺め続けた。そんな日々を過ごすうちに、自分の中の何かから一つ、また一つと自由になっていった。

 この作家はルポライターであり海外を放浪しているが、ヒッピーではなかった。インドで見た下層社会でただ生きていくことだけの毎日の人々。命は粗末にされた。物質文明への問いかけ。日本の平和の成り立ちはなんだろうか?子供の眼が問いかける。わーい(嬉しい顔)
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2008年11月10日

深夜特急2〜沢木耕太郎


img165.jpg 香港・マカオに別れを告げ、バンコックと飛んだものの、どこをどう歩いても、バンコックの街も人々も、何故か自分の中に響いてこない。目

 香港で感じた熱気の再現を期待しながら、鉄道でマレー半島を南下し、一路シンガポールへと向かった。途中ペナンで娼婦の館に滞在し、女達の屈託の無い陽気さに巻き込まれたり、シンガポールの町をぶらつくうちにやっと放浪旅行の意味に気が付いた。
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2008年10月27日

深夜特急1(香港・マカオ)〜沢木耕太郎

img162.jpg  沢木耕太郎、読むものが無いので知り合いの進めるままに読んでみた。大体ノンヒクションはあまり読んだことがない。文章の運びはどうなんだろう。この小説は始めはうだうだしてただ文字を追っていたのみだったが、やっぱりノンヒクションらしく、深い経験の処で描写は精緻に面白い。目

 これは作者が香港・マカオを出発して、シルクロード経由ロンドンに向かう一年以上にわたるユーラシア放浪の旅だ。がく〜(落胆した顔)

 香港では安アパートで長居を、マカオでは「大小」というサイコロ博打にのめり込み、今回はこの博打の描写がはらはらさせる。全6巻。今2巻目読んでます。わーい(嬉しい顔)
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2008年10月04日

山本一力〜いっぽん桜


img161.jpg 皆さんは変って欲しいもの、変って欲しくないもの、ありますよね。永遠に変って欲しくないもの。それは愛だったりして。永遠の愛と肉体、古くから望まれるものです。黒ハート

 山本一力の「いっぽん桜」はこの小説で「桜」、「萩」、「すいかずら」、「あさがお」の4篇で毎年変らなく咲く花を対比し、江戸の人情の変らない様を、変って欲しくない人の心を描いている。目

 花は毎年同じように咲いてはいるが、どこか違うという。人も環境に応じて変るものだが、娘への愛(いっぽん桜、そこにすいかずら)連れ合いへの愛(萩ゆれて)、義父の愛(芒種の朝顔)を気丈に守り抜く人情が温かく表現されていた。手(チョキ)

 江戸は商人も下町の庶民も世間を意識し、商人は儲けはするが蓄財を遊びに、芸術文化にと。庶民は高い職人技術と下町人情を守る。
次世代に何も良いものを伝えられない現代は、どこへ向かって行くのだろうか?わーい(嬉しい顔)
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2008年07月27日

損料屋喜八郎始末控え〜山本一力


img160.jpg 藤沢周平を読んでいるけど読み物がなくなると、山本一力も時々読む。この作品は江戸の下町の庶民の活力を方々にちりばめ、札差を通して政治に迫る。

 上司の不始末の責めを負って同心の職を辞し、刀を捨てた喜八郎。庶民相手に鍋釜や小銭を貸す損料屋に身をやつし、与力の秋山や深川のいなせな仲間達と力を合わせて、巨利をむさぼる札差たちと渡り合う。

 田沼バブルの弾けた江戸で、繰り広げられる息詰まる頭脳戦。山本一力デビュー作。とに角脇役の誰もが江戸っ子気質で、リズムを持って進められる。面白い。わーい(嬉しい顔)
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2008年07月16日

長門守の陰謀〜藤沢周平


img159.jpg 庄内藩十三万八千石、その藩主世継ぎを巡る壮絶な暗闘。いわゆる「長門守事件」として史実に残る庄内藩空前の危機を描く表題歴史小説。

 ほかに、時台小説の最も純粋な世界を緻密かつ簡素に描き上げた初期短編「夢ぞ見し」など。

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2008年07月09日

男の隠れ家を持ってみた〜北尾トロ

img158.jpg  知らない町で自分を見つめなおしてみよう。馴染みの無い町で降り、あるアパートの一室を「男の隠れ家」として借りることにした。仕事場と自宅。そして隠れ家を行き来する生活が始まる。
目
 男の隠れ家を持ってみたい願望はある。一般には飲み屋のような隠れ家を想像するが、この本の主人公は別の町にアパートを借りて、しかもと土地の住人となってその土地と住民とコミュニケーションを深めると言うものだ。がく〜(落胆した顔)

 だがそんなうまくはいかないと思う。その土地の人と話題を共有できるというのは、そこで何がしかの生活実感がないと、環境を自我として共有することは難しいのではないか。ふらふら

 北尾トロはペンネームなので、現在ペンネームを主体とした付き合いとなっているけど、本名でアパートを借りて素の自分で付き合いたいというのだが・・・。
う〜ん、分からない。普段から素の自分でしか表に出していないので、良く分からない。わーい(嬉しい顔) 
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2008年06月12日

よろずや平四郎活人剣〜藤沢周平

img156.jpg  神名平四郎。知行千石の旗本の師弟、しかし実質は、祝福されざる冷や飯食らい、妾腹の子である。思い屈し、実家を出奔、裏店に棲みついたまではよいのだが、ただちに日々のたつきに窮してしまう。
思案の挙句、やがて平四郎は奇妙な看板を掲げる。・・・・喧嘩五十文、口論二十問、とりもどし物百文、よろず揉め事仲裁仕る。上下950ページの長編。

 この小説は1998年NHKで,昨年はTV東京で放映された。NHKは主人公平四郎は高嶋政伸が、TV東京では中村俊介が演じた。
小説を読んだ後TVや映画で見ると詳細な部分が足りず、がっかりすることがある。今回はTV見ていた物語を小説で読んだが、藤沢周平の情景描写が精緻なせいか、TVのイメージを補って面白さが増幅した。
でも、950ページは長い。だが通勤時間にブックカバーを開くのが楽しく、退屈しない。 藤沢周平〜売れています。

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2008年04月16日

梅咲きぬ〜山本 一力


img155.jpg 玉枝は深川の料亭「江戸屋」の女将である。三代目秀弥の一人娘。周囲の人々の暖かく、時に厳しい目に見守られながら、老舗の女将としての器量を学びつつ一人前に成長していく。

 母から娘へと受け継がれる江戸の女の心意気を描く、波乱万丈の物語。
物語には、現代では失われつつある「心」の問題、「粋」、「いなせ」、「人間の器量」、「老舗の信用」、「受継ぐ」、「凛と」など。江戸の時代は武士(行政府)と商人(企業)の癒着は現在と同様にあるが、下町深川には庶民、職人、問屋、花町等には粋でいなせな生き方が支持されていた。今の企業も個人もみっともないですよね。ちっ(怒った顔)わーい(嬉しい顔)
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